WordPressの無料テーマと有料テーマの比較から考えるSEO対策
このページでは、WordPressテーマのCocoon、Luxeritas、Emanoにフォーカスして、SEO対策としてのテーマ選びのポイントをまとめています。
CocoonとLuxeritasは無料テーマ、Emanoは無料のEmano Freeだけでなく有料テーマのEmano ProとEmano Businessについても、実際のウェブサイトでテーマを有効化した結果を元に、それぞれのテーマの特徴や強み、サイト運用におけるメリット・デメリットなどを紹介していきます。
Lighthouseで計5つの有料・無料WordPressテーマを計測してみた
Lighthouseとは、ウェブサイトのパフォーマンスやアクセシビリティ、SEOなどを診断・分析するためのツール。当サイトでも紹介しているGoogleのPageSpeed Insightsというページ表示速度の計測ツールでは、このLighthouseの分析データを速度スコアの計測に利用しています。
Lighthouseで診断・分析できる指標と注目ポイント
Lighthouseで診断・分析できるのは以下の5項目。概要をまとめてみました。
- Performance:ユーザーがページにアクセスした祭の読込速度など、主にコンテンツの表示スピードに関する指標。
- Accessibility:ユーザーにとってのアクセスのしやすさ。検索エンジンのクローラーや視覚障がいのある方、多様なアクセスに対して適切なウェブデザインになっているかの指標。
- Best Practices:SSL対応や各種コードのエラーの有無、画像のアスペクト比などをチェックする指標。
- SEO:meta descriptionやrobots.txtといったSEO関連項目をチェックする指標。
- Progressive Web App:PAW対応しているかの指標。PWAの詳細は当サイト「PWA対応で利用したいWordPressのプラグインガイド」参照
なお、Lighthouseの詳しい説明はGoogleのデベロッパー向けサイトでご覧ください。
LighthouseによるWordPress無料・有料テーマ計5種類の計測結果
当サイト管理者が運営する別ドメインのモバイル版の計測結果をテーマごとに紹介していきます。特に、Performanceにおける表示速度などを中心に、テーマによる違いを見てみましょう。なお、SEOは基本的にテーマによる差は出ないと想定します。
WordPress無料テーマCocoonのLighthouse計測結果
Performanceはわずかに90を切っていますが、まあ悪くないスコア。
Accessibilityはほぼベストに近い一方で、Best Practicesが73となっているのはHTTPS接続できないと判定されていたので、別日に改めてチェックしたいと思います。
WordPress無料テーマLuxeritasのLighthouse計測結果
4項目とも90を越える高スコア!
Luxeritasはテーマ事自体が持つ機能を利用して、表示スピードアップ機能やPWA対応ができるので、それらもスコアアップに好影響を及ぼしていると考えられます。
First Contentful Paintが1.4s高速であることも見逃せないポイントです。
WordPress無料テーマEmanon FreeのLighthouse計測結果
無料版のEmanon Freeでも4項目80以上のスコアが出ています。
Performanceは高速化のプラグインとの組み合わせなどで向上できるかもしれませんが、Accessibilityはこのバージョンのスペックなのか、CocoonやLuxeritasよりスコアが低い点は詳細に見ていく必要がありそうです。
WordPress有料テーマEmanon ProのLighthouse計測結果
Emanon Freeの計測時とEmanon Proの計測時で変更しているのはテーマ設定のみ。
Accessibilityは83の同スコアのまま、PerformanceはスコアダウンでBest Practicesはスコアアップして93に。同じテーマのバリエーション違いでも特性の方向に違いがあるようです。
WordPress有料テーマEmanon BusinessのLighthouse計測結果
PerformanceだけがEmanon Proよりスコアダウン。他は同スコアなので、計測するタイミングによる差とも考えられ、Emanon ProとEmanon Businessとのスペックは同等と考えてもよさそうです。
総評:WordPressの無料テーマと有料テーマの比較
このページでは、SEO対策としてのテーマ選びという視点で、SEO診断・分析ツールの代表的存在Lighthouseを使った5つのWordPressテーマによる計測結果を比較してみました。
WordPress無料テーマの中でもSEO最適化に強みを持つとされるCocoonとLuxeritasは、やはり高いスコアが出ました。特にLuxeritasは4項目とも90台のハイスコア。これ以上の計測結果を出すのは容易ではないでしょう。
一方、無料版も含めて同一プロダクトであるWordPressテーマEmanonは、3種類のバリエーションでPerformanceのスコアが異なる結果に。特にFree→Pro→Businessと、上位プロダクトでよりスコアが下がるという傾向が見られました。
無料テーマLuxeritasの特性とは
Luxeritasは無料ということもあり、当サイト管理人も複数のウェブサイトで使わせてもらっています。AMPやPWA、SEO最適化など、それぞれの専用プラグインを使わなくてもある程度カバーできるほど多彩な機能を持っていて、有効化するプラグインをできるだけ減らせるといったメリットも含めて、ウェブサイトの表示速度のスピードアップという点で大きなアドバンテージがあると実感しています。
一方、コーポレートサイトやプロダクトサイトなど、ある程度商用サイトとしてのデザイン性やページ構成が必要となるケースでは、ウェブデザイナーによるカスタマイズをした方がよさそうです。
ブログのような、記事を集積していく用途ならLuxeritasの特性がより発揮される──と思います。
有料テーマEmanonの特性とは
当サイト管理人は、中小企業のコーポレートサイトなど、ベースとなるコンテンツのボリュームは少なめながら、問い合わせや資料請求といったコンバージョンへの誘因を重視するようなウェブサイトの構築依頼で、Emanon Businessを利用しているケースが複数あります。
その理由は、フロントページの作り込みがしやすい点やCTA要素の設置や強調がしやすいといった、商用サイトで求められがちな機能が充実しているから。ウェブデザイナーに発注せずとも、パーツのディテールまでそれなりに洗練されたデザインで完結できるのは大きな強みです。
中小企業の商用サイトで認知や集客を重視しつつデザインコストを抑えたいようなケースで、Emanon Businessの特性がより発揮される──と思います。