PWA対応で利用したいWordPressのプラグインガイド

2019年11月21日

ウェブサイトをスマホアプリ風に使えるようにするPWA対応。その仕組みやメリットをはじめ、WordPressでPWA対応を実践するためのプラグインとしてPWA for WordPressSuper Progressive Web Appsを紹介します。さらに、WordPressのテーマでもPWA対応可能なものがあります。

ウェブサイトをPWA対応することの概要とメリット

PWAはProgressive Web Appsの略。訳すとすれば“進歩的なウェブアプリ”といったところでしょうか。
そう、PWAとはブラウザで表示するウェブサイトをベースにしつつ、ユーザーにとってはスマホアプリ的に利用できるようにするもの。iOSやAndroid OSといったスマートフォンそれぞれのプラットフォームに合わせて開発するのがネイティブアプリで、サイト運営側にとってはネイティブアプリほど開発に手をかけず、ユーザーの利便性向上などが期待できるのがポイントです。

ブラウザ表示及びネイティブアプリとPWAの比較

モバイルサイトをブラウザでのみ表示させるのと、ネイティブアプリを開発する場合、そしてその中間に位置するPWAと、それぞれのメリットとデメリットを簡潔にまとめてみました。

 メリットデメリット
ブラウザ
  • 手間やコストが増えない
  • PWAやネイティブアプリよりも表示が遅い
  • ブラウザできること以外はできない
PWA
  • スマホのOSに依存しない
  • ブラウザより表示を早められる
  • プッシュ通知などが利用可能
  • アプリストアを使わなくてよい
  • アプリインストールは不要
  • オフライン閲覧も可能
  • ネイティブアプリほど機能を充実させるのは難しい
  • ブラウザ表示のみよりも手間やコストがかさむ
ネイティブ
アプリ
  • スピーディーな表示が可能
  • 様々な機能が利用可能
  • プッシュ通知などが利用可能
  • オフライン閲覧も可能
  • アプリストアからの流入も期待できる
  • OS単位の開発・運用が不可欠
  • 審査に通らないリスクあり

PWA対応する方法

モバイルサイトをPWA対応するにあたって、そのサイトがSSL化されていることは必須要件。その他、アイコンとマニフェスト、Service Workerを作成する必要があります。
マニフェストとService Workerについては設定項目を紹介しておきます。

マニフェストの主な設定項目

  • スタートページ:一般的にはサイトのトップページを指定
  • アプリケーション名:一般的にはサイト名を指定
  • 短いアプリケーション名:アイコンに表示する名称
  • Description:アプリの概要
  • アイコン:WordPress用に512×512ピクセルのpngがあれば流用可能
  • 表示モード:表示する操作ボタンの有無などを4種類から選択可能
  • 画面の向き:縦表示固定・横表示固定・縦横回転の3種類から選択可能

この他、アプリ画面のテーマ色や背景色の設定もできます。

Service Workerの主な設定項目

serviceWorker.jsにFetch イベントを記述することで、通知機能やオフライン機能などを利用できます。

WordPressのウェブサイトをPWA化できるプラグイン

WordPressの「プラグインを追加」画面で「PWA」をキーワードとして検索すると、27個のプラグインが表示されました(2019年11月21日現在)。
この中で有効インストール数と高評価が多いプラグインを2つ、お試しで使ってみました。

Super Progressive Web Apps

引用元:WordPress.org日本語|Super Progressive Web Apps(https://ja.wordpress.org/plugins/super-progressive-web-apps/)

このプラグインは2019年11月21日現在で有効インストール数は3万+、5つ星評価は129。有効インストール数が断トツに多い、WordPressのPWAプラグインです。

Application Short Nameは12文字まで

Super Progressive Web AppsのSettings画面ではマニフェストの各項目を入力します。
Application Short Nameが12文字までとなっていて、当サイトでいえば「SEOkeyword.jp」とは登録できず、「SEOkeyword」と設定することになります。
Settings画面の下部には、サーバーに書き出されるマニフェストとService Workerの設定ファイルを確認することもできます。

Super Progressive Web Appsには2つのAdd-Onあり

Super Progressive Web Appsには2つのAdd-Onが用意されています。
ひとつはUTM Tracking。PWAからのアクセスをGoogleアナリティクスなどのツールで計測するためのパラメーターを設定することができます。
もうひとつはApple Touch Icons。iOSの場合、バージョンによってはPWAのアイコンやスプラッシュアイコンがウェブサイトのスクリーンショットになってしまうところ、このAdd-Onを使うと設定したアイコン画像を利用することができます。

WordPress内Super Progressive Web Appsページ

PWA for WP & AMP

引用元:WordPress.org日本語|PWA for WP & AMP(https://ja.wordpress.org/plugins/pwa-for-wp/)

このプラグインは2019年11月21日現在で有効インストール数は1万+、5つ星評価は57。Super Progressive Web Appsほどではないものの、十分利用しているサイトがあるといえます。

Application Short Nameの文字数制限なし

Super Progressive Web Appsとの比較という点で、PWA for WP & AMPはApplication Short Nameの文字数制限がありません。当サイトであれば「SEOkeyword.jp」と設定できますが、ホーム画面のアイコン下に表示される文字列なので、短めの方がベターではあります。
また、PWA for WP & AMPはiOSのスプラッシュスクリーンで表示するアイコンを、iPhoneからiPadまで計7種類の画面解像度別に画像設定をすることができます。

プッシュ通知など多様な機能も利用可能

上の画面はPWA for WP & AMPのSettingsメニューのうち、Featuresの画面。
有料版でないと利用できない機能もありますが、プッシュ通知やプレキャッシュ、UTM Trackingといった機能が利用できます。
プッシュ通知を利用するにあたっては、GoogleのFirebaseのAPI keyを設定する必要があり、Firebaseも含めて別途説明ページを用意したいと思っています。

WordPress内PWA for WP & AMPページ

WordPressテーマLuxeritasで設定できるPWA関連項目

AMP対応なども含めて機能の豊富さが魅力のWordPressテーマ、LuxeritasにはPWAにも対応しています。その設定画面を紹介しましょう。

LuxeritasのPWA機能ではマニフェストの各項目設定などができます。

LuxeritasのPWA機能でも基本的なマニフェスト項目設定は可能で、アイコンはテーマとしてのサイトアイコン画像を流用することになります。
スプラッシュアイコンやUTM Tracking、プッシュ機能といった設定は、上記Luxeritas v3.7.2.2にはありません。