WordPressによるウェブサイト運用の実体験で身に染みた手間やリスク要因など

WordPressによるウェブサイト運用の実体験で身に染みた手間やリスク、出費など
オープンソースのCMSをして世界でも日本でも高いシェアを誇るWordPress。導入時の手間やコストの抑制には役立つイメージですが、専門スタッフ不在でウェブサイトを運用するとなると、それほど容易な業務とはいえません
非エンジニアである当サイト管理人が7年にわたって実感した、WordPressによるウェブサイト運用の手間やリスク要因、コストなどを紹介します。

WordPressのバージョンアップに伴う注意点

WordPressのバージョンアップはすべきか否か?

WordPress本体のバージョンアップはメジャーバージョンマイナーバージョンセキュリティバージョンの3種類あります。原則としては常に最新バージョンにするべきですが、バージョンアップしたことでサイトの表示がおかしくなったり、セキュリティリスクが高くなるというケースもゼロとはいえません。
マイナーバージョンとセキュリティバージョンは即更新するとして、メジャーバージョンは試験環境で検証してから本番環境を更新するのが無難です。
また、バージョンアップする際はバックアップをとって、トラブルが起きた際にすぐ切り戻しできるようにする必要があります。WordPressのプラグインでもできますが、サーバーにバックアップと復旧できるツールがあれば、サーバーの機能を利用する方が手間は少ないと思います。

テーマやプラグインのバージョンアップはどうする?

テーマやプラグインも原則としては最新バージョンにすべきではあるものの、組み合わせなどによっては不具合の原因になることがあります。
例えば、プラグインの動作条件はWordPressの必須バージョン対応する最新バージョンに加えて、必須PHPバージョンを定めているものがあります。サーバーのPHPがちょっと古めのバージョンだと、WordPress本体はバージョンアップできるのに、プラグインはバージョンアップできないということも起こりうるわけです。
また、WordPress本体のバージョンアップ直後だと、プラグインはその最新バージョンでテストされていないというケースも。問題なく動作することもありますが、リスクといえなくはありません。

最新バージョンのWordPressでテストされていないプラグインで表示されるアラートの例

PHPのバージョンアップはエンジニアなしでできる?

WordPressの動作環境として、近年PHP5からPHP7に移行したウェブサイトは多々あるでしょう。レンタルサーバーによってはコントロールパネルでドメインごとにPHPのバージョンを選択できるものもありますが、公開環境でいきなりPHPのバージョンを変更するわけにもいきません。
作業の流れとしては、PHP7環境でサブドメインの検証サイトを構築して、問題がなければ公開サイトを新しい環境としてネームサーバーを設定変更する、といったところ。
レンタルサーバーにも同一サーバー内でウェブサイトをまるごと複製したり、別なサーバー間でWordPressのデータを一式移行できるツールもあります。こうしたツールを利用できれば、エンジニアがいなくともPHPのバージョンアップができるでしょう。

WP5から採用されたグーテンベルクで投稿時の作業が大きく変わった

既存ページでブロック変換がうまくいかず手直しすることも…

WordPress5から採用となったグーテンベルクというエディターは、投稿や固定ページを作成する際の入力作業を大きく変えました。
ここではグーテンベルクの詳述は避けますが、コンテンツをブロック単位で作成・編集可能となり、htmlやcss、JavaScriptなどのスキルがなくても、凝ったデザインやレイアウトがしやすくなったのは事実。
一方、グーテンベルク以前から運用していたウェブサイトの場合、既存ページでブロックへの変換がうまくいかず手直しをせざるを得なかったケースもあります。

参照元:WordPress.org日本語|Gutenberg(https://ja.wordpress.org/gutenberg/)

プラグインを選定する際の注意点

WordPressのプラグインは多種多様なプラグインが利用可能な点も魅力。特に無料プラグインならインストールしてテストしてダメだったら別なプラグインを探せばいい、そんな軽い気持ちであれこれ手を出してしまいがちですが、WordPress本来にも増してトラブル要因となりやすい傾向があるので要注意です。

WordPressや他プラグインのバージョンアップで機能しなくなることも

WordPressのプラグインによるトラブルで特に悩ましいのが、プラグイン同士の相性など組み合わせによって生じる不具合。関連するプラグインがバージョンアップされても、設置している環境や他のプラグインとの組み合わせによっては、特定プラグインが動作しなくなってしまうこともあるのです。

いつの間にか開発ストップするケースも珍しくない

WordPressのプラグインをインストールする際、商用サイトであればある程度永続的にバージョンアップしてくれる開発元であることもチェックしておきたいところ。個人が開発している無料プラグインの中にも便利なものは多々ありますが、メンテナンスし続けることを強要できるわけでもなく、気付いた時には開発ストップしていたという事態もよくあること。
プラグインページを見れば、最終更新からどのくらいの期間が過ぎているかがわかるので、年単位で更新されていないようだと、代替手段を検討しておいた方がいいでしょう。

有料プラグインなら絶対安心というわけでもない

有料プラグインなら無料プラグインよりはサポート面でも機能面でも安心ではあります。
ただし、有料プラグインであっても利用するウェブサイトの環境次第で不具合が起きることはありますし、メジャーなソフトメーカーほどサポート体制が充実しているわけではありません。問い合わせ窓口がメールだけだと、トラブルが起きた時も数営業日回答を得られないことがあるほど。
また、無料バージョンと有料バージョンとがあるプラグインでも、機能制限タイプ期間制限タイプがあることを憶えておきましょう。
機能制限タイプの場合、使いたい機能が有料バージョンにしかなければ、購入してみないと検証はできません
一方、期間制限タイプの場合、一定期間までフル機能使えるプラグインがあり、これなら購入前にしっかり動作検証できますね。